月次は12日を含む基準週、週次NER Pulseは4週平均という異なる観測期間を示すカレンダー
月次の雇用は12日を含む基準週の前月比。週次Pulseの4週平均とは、観測する期間も単位も異なります。

1. 月次雇用・週次Pulse・給与を見分ける

ADP National Employment Report(NER)は、匿名化・集計された給与データに基づく米国民間雇用の指標です。雇用の増減と、働く人の給与の変化を表すPay Insightsは、同じ量を測っていません。

ADPの3つの数字を比べるときの基準(横にスクロールできます)
資料対象・単位取り違えやすい点
月次NERの雇用増減12日を含む基準週の民間雇用を、前月と比較した増減数月中の新規採用の合計や、政府部門を含む全雇用の増減ではない
週次NER Pulse季節調整済みの雇用の前週比変化を、4週移動平均で示す。単位は1週あたりの雇用増減4週間全体の増減数でも、月次NERの予測値でもない。対象週末と公表日には約2週間の遅れがある
Pay Insights同じ仕事を続けた人と転職した人などを分け、個人の給与の前年同月比変化の中央値などを示す給与は月全体が対象。雇用増減や失業率とは別に読む

「1週あたり」と「4週間で」の違い

たとえば仮定の週ごとの雇用増減が、2万人、1万8,000人、1万人、1万6,000人なら、4週平均は(20,000+18,000+10,000+16,000)÷4=16,000人です。4週の合計64,000人と、1週平均16,000人を取り違えないでください。

この平均を4倍しても、月次NERの雇用増減にはなりません。月次は基準週同士を比べ、4週移動平均は週ごとの増減をならした数字だからです。また、翌週の4週平均は直前の平均と3週分が重なるため、二つの平均を足して8週間分と扱うこともできません。

2. BLS雇用統計と単純に足さない

ADPは、NERを米労働統計局(BLS)の月次雇用統計の予測を目的とするものではないと説明しています。2022年に見直した現在の方法と、以前の予測モデルを混同しないでください。ADPとBLSを足して米国全体の雇用増減を求めることもできません。

ADPのPayroll Employmentは給与名簿上の雇用関係、Paid Employmentはその給与期間に支払いのあった雇用を捉えます。雇用関係を数える指標では、複数の仕事を持つ人が複数に数えられるため、住民の就業者数と同じではありません。米国雇用統計の記事では、雇用者数と失業率を別の調査として読む方法を確認できます。

3. 同じ対象週を同じ公表版で比べる

対象週末が同じでも、公表日が違えば数値が改訂されることがあります。ADPは、後から入るデータによって速報が変わり得るとしています。

2026年10月3日までの4週平均:公表版の違い
公表日同じ対象週末1週あたりの増加
10月20日10月3日18,500人
10月27日10月3日17,500人

10月27日版の新しい対象週末は10月10日で、4週平均は16,750人です。この版で直前と比較するなら、同じ表にある10月3日の17,500人を使います。10月20日版の18,500人を混ぜると、改訂分まで期間の変化として読んでしまいます。

月次の前月値も、新しく届いた顧客データを取り込んで改訂されます。最初に発表された値と最新の値は、公表日を添えて区別しましょう。季節調整済みと未調整も同じ列に混ぜないでください。

4. 発表予定と日本時間を確認する

2026年11月4日午前時点の予定では、10月分の月次NERは11月4日(水)米東部時間8:15、日本時間22:15です。NER Pulseの次回予定は11月10日(火)米東部時間8:15、日本時間22:15です。予定の変更はADPのCalendarと発表文で確認してください。

Pulseは原則火曜日ですが、月次NERを公表する週には公表されません。「毎週必ず火曜日」「政府統計の必ず2営業日前」と固定して待たないでください。米国の2026年の夏時間は11月1日に終了したため、11月の米東部時間8:15は日本時間22:15になります。

公表日と統計の対象月・対象週末は別です。11月4日公表予定の月次は10月分であり、11月の雇用結果ではありません。発表前の予定を、発表済みの結果や市場予想と読み替えないでください。

5. 発表資料を読む4つの手順

  1. 資料名と対象期間を見る。月次NERかPulseか、雇用か給与かを選び、対象月・週末と公表日を書き留めます。
  2. 単位と集計方法を読む。月次の増減数、1週平均、給与の前年同月比を区別し、季節調整の有無もそろえます。
  3. 同じ公表版の前回値と比較する。古いニュースの数値と混ぜず、同じ表の改訂値を使います。初回値を比べたい場合は、それぞれの初回公表日を残します。
  4. 他の指標は別の観測として並べる。BLSの結果や失業保険申請の対象を確かめます。ADPの増減だけで為替の方向や約定価格を決めつけないでください。

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