2026年7~9月期:年率3.4%と前期比0.8%の違い

米商務省経済分析局(BEA)が2026年10月29日に公表した7~9月期の実質GDP速報値は、季節調整済みの前期比年率で3.4%増でした。同じ公表資料の技術注記では、四半期の前期比を0.8%増としています。3か月間に3.4%増えたという意味ではありません。

この数値は2026年7~9月の経済活動に対する速報の推計です。10月の成長率や、今後1年間の成長予測ではありません。次の第2次推計は11月25日の公表予定です。

米国GDPを読む際の対象期間、比較方法、改訂の3項目を示した図
対象の四半期、比較する期間、公表された版を合わせて数値を読みます。

前期比・前期比年率・前年同期比は比較相手が違う

成長率の表示と、比較する期間
表示比較のしかた
前期比直前の四半期から何%変化したか。
前期比年率直前の四半期からの伸びと同じペースが4四半期続くと仮定し、複利で年率に換算する。
前年同期比前年の同じ四半期から何%変化したか。前期比年率とは比較期間が異なる。

仮に同じ系列の季節調整済み実質GDP指数が、前の四半期100から今期101になった場合、前期比は(101÷100−1)×100=1%です。前期比年率は(1.01の4乗−1)×100=約4.1%となります。4.1%は翌年の実績や予測を表す数字ではありません。

年率を厳密に前期比へ戻す式は「(1+年率÷100)の4乗根−1」に100を掛けたものです。単に4で割る方法とは異なります。公表値は丸められているため、BEAが併記する四半期の伸び率も確認してください。比較する系列の季節調整の有無もそろえます。

実質は物価の影響を除き、名目はその時点の価格で測る

GDPは、国内で生み出された財・サービスの付加価値を測る統計です。生産の途中で使われた財・サービスを重複して数えるものではありません。

同じGDPでも異なる「名目」と「実質」
区分数字の意味
名目GDP取引が行われた時点の価格で評価した金額。価格の変化も含む。
実質GDP価格の変化による影響を除いた推計。生産活動の量の変化を読む際に使う。

名目GDPの伸びが大きくても、それだけで生産量が同じ割合で増えたとは判断できません。BEAの資料では「Real GDP」が実質、「Current-dollar GDP」が名目に当たります。物価そのものを知りたいときは、米国CPIの対象と総合・コアの違いも確認してください。

速報値は第2次・第3次推計で改訂される

米国の四半期GDPは、Advance、Second、Thirdの順で公表されます。速報のAdvanceは、まだそろっていない基礎データや、その後改訂されるデータを含みます。Second、Thirdでは、より詳しいデータが反映されます。

同じ7~9月期でも、速報と第2次推計では数値が変わる場合があります。「前回」が前の四半期なのか、同じ四半期の前の版なのかを確かめてから比較してください。Thirdが「確報値」と呼ばれていても、その後の年次改訂などで過去の数値が変わることがあります。

GDP発表を読む4つの手順

  1. 資料の対象と版を合わせる。たとえば「2026年7~9月期・実質・季節調整済み・前期比年率・Advance・10月29日公表」まで確認します。
  2. 比較相手の対象期間を読む。前の四半期との比較と、同じ四半期の速報からの改訂を混ぜないでください。
  3. 伸びの内訳を読む。見出しの成長率だけでなく、BEA公表文の個人消費、投資、政府支出、輸出入の説明を確認します。需要のどこが変化したかをたどれます。
  4. 元の公表資料を残して次回と比べる。BEAのデータ表は次回公表時に最新値へ切り替わるため、過去の発表内容を確かめる場合は公表日付きの資料やData Archiveを使います。

GDPの増加率だけで、ドル/円が上昇するとは決まりません。GDPの対象期間と発表日にも時間差があります。金融政策の判断を読むときは、FOMCの決定・声明・会見資料と区別して確認してください。発表時に注文する場合は、保有数量と未約定注文、利用商品の約定条件を確認します。相場の急変で希望する価格で取引できず、預けた証拠金を超える損失が生じる場合があります。

GDPの公表値・定義・計算方法の公式資料

情報基準日:2026年11月2日。最新の公表値と予定はBEAのGDP案内ページで確認してください。

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