スリッページは、発注時の価格と約定価格の差

注文を送ってから処理されるまでにレートが変わると、画面で見た価格と実際の約定価格に差が生じることがあります。これがスリッページです。価格のずれは不利な方向だけでなく、有利な方向にも起こります。

同じ時刻の売値(Bid)と買値(Ask)の差はスプレッドです。スリッページを確かめるときは、買いなら買値、売りなら売値を基準にし、発注時と約定時を比べます。スリッページとスプレッドの違いも確認できます。

発注時の価格と約定価格の間に処理時間があることを示す図
発注してから約定するまでにレートが変わると、価格差が生じることがあります。有利・不利の方向は、買いと売りで異なります。

1万通貨では、0.01円の差が100円に相当する

仮定:米ドル/円を1万通貨取引し、発注時の基準レートを150.000円とします。買いはAsk、売りはBidがそれぞれ150.000円だった場合です。価格差による影響は「価格差×通貨数量」で計算でき、買いは高い約定ほど不利、売りは安い約定ほど不利になります。

基準レート150.000円・1万通貨の価格差
注文約定価格基準価格との差の影響
買い150.030円300円不利
買い149.990円100円有利
売り149.980円200円不利
売り150.010円100円有利

この価格差は、取引全体の最終損益とは異なります。最終損益には新規と決済の実際の約定価格、手数料、スワップなどが関わります。実際の約定価格で損益を計算したあと、スリッページ相当額を重ねて引くと二重計上になります。FX取引のコストと約定履歴の照合例では、履歴から損益と費用を確認できます。

許容スリッページを設定できる注文は、商品ごとに違う

許容スリッページは、価格のずれをどこまで受け入れるかという設定です。すべての注文に適用されるとは限りません。商品の名称に加え、「即時」「成行」「2WAY」など、実際に使う注文の名称を確認してください。

公式案内で確認できる設定対象(情報の基準日:2026年10月12日)
商品・注文許容設定確認する条件
DMM FX
即時注文
設定できる設定幅以内で約定し、超えると不成立・失効。有利・不利の両方向が対象。即時注文のFAQ
DMM FX
一括決済・クイック決済・ロスカット
設定できないこれらは成行扱い。即時注文の設定幅を適用できず、急変時などには不利な価格で約定する場合もある。注文別のリスク
GMOクリック証券
FXネオ
成行注文のみ設定できる成行・逆指値・ロスカットでは、有利にも不利にも価格がずれる場合がある。スリッページのルール
SBI FXトレード
成行・2WAY注文
成行は設定なし、2WAYは設定できる2WAYの設定を狭くすると約定しにくくなる。成行注文とは取引条件が異なる。成行と2WAYの違い

同じ会社の別商品に、この条件を当てはめることはできません。注文前には、利用中の商品の取引ルールと注文画面で、設定対象・単位・現在の設定値を照合します。

0に設定しても、画面の価格で必ず成立するわけではない

許容幅を狭くすると価格のずれを制限できますが、その範囲に入らない注文は成立しない場合があります。みんなのFXも、狭い設定は価格を優先、広い設定は約定を優先する違いがあると案内しています。広げれば損失を抑えられるという意味ではありません。

決済注文が不成立になったときは、別の決済が成立していなければ建玉が残ります。「注文を送った」と「決済が完了した」を混同せず、注文履歴と建玉一覧を確認してください。

逆指値の指定価格と、実際の約定価格は異なる場合がある

逆指値の価格は、注文が発動する条件です。その価格での約定を保証するものではありません。FXネオでは、買いはAskが指定価格以上、売りはBidが指定価格以下になったときに発動し、その時点の提示レートを基準に執行されます。相場が急変した場合などは価格がずれることがあります。

DMM FXも、週明けの最初のレートや急変時の逆指値約定について注意を案内しています。指値も、条件に達しただけで必ず成立すると判断せず、実際の注文状態を確認します。成行・指値・逆指値などの注文方法で、目的に合う注文の違いを確認できます。

流動性が低下すると、スプレッドの拡大や希望価格での決済の難しさが生じ得ます。ロスカットも損失額の上限を保証せず、相場の急変では預けた証拠金を超える損失が起こり得ます。ロスカットの判定と約定の違いも確認してください。

約定しない・価格がずれたときの確認手順

  1. 注文の対象を特定する:商品名、通貨ペア、注文種類、新規か決済か、買いか売りか、数量を確認します。同じボタンに見えても、一括決済と即時注文では設定の対象が違う場合があります。
  2. 設定値と単位を読む:許容設定の適用対象、設定幅、pipsや円などの単位を確認します。たとえばDMM FXの米ドル/円では1.0pipsが0.01円です。別の通貨ペアや商品に、この換算をそのまま使わないでください。
  3. 注文と約定の履歴を照合する:注文番号、送信時刻、失効・不成立・エラーの表示、実際の約定価格と時刻を保存します。チャートだけでなく、買いならAsk、売りならBidの基準と照合します。
  4. 建玉と未約定注文を確認する:成否が不明なまま注文を繰り返すと、意図しない重複注文につながるおそれがあります。建玉が残っているか、待機中の注文があるかを先に確認します。
  5. 不明点は取引先へ問い合わせる:注文番号、時刻、注文種類、設定値、画面の表示を伝え、処理状況と該当するルールを確認します。設定を広げたり再注文したりする前に、現在の建玉と注文状態を把握してください。

許容設定と約定履歴のよくある疑問

有利に動いた価格でも、注文が失効することはある?

DMM FXの即時注文では、許容幅は有利・不利の両方向に適用されます。仮に米ドル/円の基準が150.000円で許容幅が1.0pips(0.01円)なら、FAQのルールでは149.990~150.010円が幅以内です。149.989円や150.011円は範囲外となり、注文は不成立・失効になります。有利な方向だから必ず約定するとは判断できません。他商品の扱いは、それぞれの注文条件を確認してください。

チャートの高値・安値だけで、約定価格のずれを判断できる?

チャートだけでは判断できません。表示しているレートがBidかAskか、集計する時間帯、注文の種類、実際の約定時刻を確認する必要があります。DMM FXは、逆指値が提示したレート以外やレート履歴にない価格で約定する場合もあると案内しています。注文番号と約定履歴を保存し、商品の約定ルールと照合してください。

注文条件と価格の参考資料

情報の基準日:2026年10月12日。注文の名称・設定対象は商品ごとに異なり、変更される場合があります。利用中の商品の最新案内を確認してください。

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